「いつか使うから」
母の口癖だ。
「いつか使うから置いといて」
そうして、ふすまの向こうにたくさんの物が溢れかえってくる。
戸を閉めれば見えない空間。ブラックホールのような場所。
だから溜めこんでしまう。
半ば強制的に、絶対使わないモノを掘り出して、
説得して、とりあえずリサイクルショップに持っていくことが合意した。
「いつか使うから」という言葉の通り、
1年中に1度でも使えばいいけれど、そのブラックホールに入っているモノを、
1度たりとも使ったことを見たことが無い。
縁起でもないけれど、
母や父が亡くなった時に、大量に物を整理すれば、
お金は掛かってしまうし、今より物価も上がっているだろうから、
なるべくできる範囲で、できることをしていきたいものだ。
またリサイクルショップで、
引き取ってもらえるのか、それとも一緒に自宅に帰り、
ゴミ袋に包む運命なのか、行ってみないと解らない。
少しだけ希望がある。
そんな今日だった。