あのこの言ってた意味が初めてわかった
「私ね、1人だと眠れないの」
そう言っていた彼女の言葉は分かっても、
理解はできなかった。
眠るって1人でできることじゃないの?
当時、会いに行ったとき、
私が朝起きると、その言葉通り、
すやすや寝ていた。
朝ごはんを作っている音で目覚めた彼女は、
少し身体を伸ばして、唸りながらも、
食器を用意してくれた。
私が来て、少しは眠れたのだろうか。
そう過った。
不思議にも私は不眠症になった。
そして彼女の気持ちがわかった。
それでなくとも生きることは1人なのに、
目を瞑ると、暗闇の中に放り出され、
ありもしないことを考え込んでしまう。
眠れたと気づくのは翌朝。
それまで一体どうやって、
過ごせばいいのか分からない。
自分には絶対起きないだろうということが
起きることもあり、
いまわからないことがわかる日が来る。
人生というのはわからないな、と思ったし、
深いとも思った。