傍から見たら楽しいはずなのに……
両親と姉夫婦との焼肉。何度目かの集まり。
楽しいはずなのに、味がわからなかった。
最近、好きだと気づいた牛タンも、
気になっていたハラミも、
元々好きなホルモンも、
全部、味がわからなかった。
会が始まって、すぐ私は目眩の兆候に気づいた。
そしてすぐ、目眩の薬を持ってきていないことに気づいた。
私はすぐにアルコールを飲み、そのふわふわで誤魔化した。
その後、追ってきたモノは、
虚無感と切なさだった。
大勢の中に居るのに、私は孤独だった。
周りは温かいのに、自分だけ冷たいような感覚がした。
涙がじわっと現れそうになったから、
どうにか防いだ。
アルコールのペースを上げたり、
とにかく食べたり、何度か席に立ったり、
姉さんとラインをしたりして。
楽しまなきゃいけないのに。
美味しいって言わなきゃいけないのに。
いや、
いつもなら美味しいと言う食事なのに、
どうして今日は味がわからないの?
それはこうやって文を書いている今さえも分かっていない。
また私は、
死の淵で歩いている。
一歩踏み間違えれば、真っ逆さまの場所で、
生きている。