おとう
今日の深夜12時。おとんが急に起きてきた。
普段なら茶の間に明かりが点いていれば、起きてこないのに。
そういえば、自分の部屋のパソコンをスリープにさせたままだ、と、
電源を消そうとしたときに起きてきたので、慌てて私は茶の間に戻った。
「まだ寝てないのか」「眠れないのか」と怒るかと思いきや、
ガラホからスマホに変えたいという相談と料金や性能の話を受けた。
深夜0時から1時まで、時におとうのうんちく話も交えながら話した。
こんなことは年に一回あるかどうか。
おとうが自分の心の扉を開ける瞬間は短くそして回数も少ない。
今だ!と思う時に、懐に飛び込まないと、また1年後になってしまう。
おとうは否定されたくない人だ。
出来れば自分を立ててほしいし、肯定してほしい。
だから私は、「いいんじゃない?」とか
「こういうのもあるよ」という提案しかできない。
だから、何処かで嘘をついているようで、
普遍的な娘であることに、申し訳なさを感じながら話している。
おとうのことは好きじゃない。
すぐ機嫌が悪くなるし、目つきも悪いし、
口も悪いし、すぐ悪口を言うし、
米の固さとか料理の味へのこだわりも強いし。
でも、好きなところもある。
寡黙なおとうが、
突然話し出す瞬間は、
少し愛おしくなる。
そんな今日だった。
おとう、また話そうね。