ねえ、何だったの。あの日々は。あの5年間は何のための時間だったの。私は人生の全てを懸けて、君も賭けていたはずで、仲間だったのに。
どうして高校卒業したら、その縁が解れていくんだろうね。
部活引退の時にくれたあの手紙や色紙はあの時に思っていたことだよね。じゃあもう今はどうでもいいのかな。
それとも恋人が出来て、先輩なんてどうでもよくなってしまったのかな。それは人生の先輩として、喜ぶべきのかな。こんなの未練がましいかな。
私はいつまでも仲間であり、後輩だと思っていたから。君が泣いたら、ずっと傍に居たいし、出かけたいと言ったら、手を取って、何処へだって行こうと思っていた。どんなことをしても、世間から君を守ろうと決めていたのに。
恋人でもないのに、こんなこと思うのは重いのかもしれない。でもあの高校時代を支えてくれたのは、仲間たちだし、その恩に報いるために何でもすると決めたから。
でも君は違うのかな。現に私の同期だって、引退した後、演劇を一切見に来なかった。もう関わりたくないのかもしれないと思った。少しだけ冷たいと思った。先輩は後輩の最後まで見てこそ、先輩だと思ったから。
いや、私が特殊すぎるのかな。押し付けちゃいけないと分かっているから、私からは何も言わない。だからせめて、寂しいとだけ思わせて。きっと私はまだあの演劇部に居た頃で止まっているのかもしれない。永遠とあの場所を追いかけているのかもしれない。
でもみんなはもう先に進んでいて。私だけ、ひとりぼっちになるのかな。君たちよりも先に社会へ出て、荒波にもまれても尚、演劇部に戻りたいと思ってしまった私が愚かだったかい?それならいっそ、冷たい同期たちのように、一切顔を出さなければよかったかな?
こうして私はどんどん心の扉を閉めていって、気づいたら暗闇の中でぽつんと座り込んでいる。こんな私を引き込んでくれる人などもう現れない。
何度も希望という名の物を探したけれど、どこにもなかった。どこにも見当たらなかった。幾度となく待ったし、自分で探しに旅へ出たけれど、それでもなかった。
私は、どうしたらいい?